ラリーの構成と進行

ラリー競技の大会日程

ラリーの総走行距離(スタートからフィニッシュまでの距離)はそれぞれの選手権の規定によって大枠が定められており、基本的には選手権のレベルが高くなるにつれて走行距離も長くなります。従って競技日程も、国内の地方選手権ラリーなどの多くは1日で終了しますが、全日本ラリー選手権WRCなどの国際格式ラリーになると数日間から1週間以上にも及びます。

LEG/レグとは

「レグ」はラリーを構成しているパートの単位です。ラリーはいくつかのレグによって構成され、レグはいくつかのセクションによって構成されています。
レグとレグの間には一定の停止時間(最低6時間)が設けられ、1つのレグにおけるクルーの運転時間も一定時間(最大18時間)を超えないよう定められています。

Section/セクションとは

「セクション」とはレグを構成しているパートの単位です。いくつかのセクションによってレグが構成され、いくつかのレグによって1つのラリーが構成されています。
セクションとセクションの間にはリグルーピングが設けられます。

Stage/ステージとは

「ステージ」とは、SS(=スペシャルステージ)のこと、あるいは前後のロードセクションを含んだSSのことで、単位 のようにも使われます。 例えばRALLY JAPANでは、27のステージがあります。

Control/コントロールとは

「コントロール」とは、ラリーのルート上に設けられ、競技車の通過を確認する関所のような地点を言います。コントロールは大きく分けると、通 過の有無をチェックする「パッセージコントロール(=Passage Control)」と、通過した時刻をチェックする「タイムコントロール(=TC, Time Control)」とがあります。

Shakedown/シェイクダウンとは

ラリー本番前に、チームが競技車の足慣らしを目的に行なうテスト走行が行なわれることがあります。これを「シェイクダウン」と言います。主催者が用意したテストコースで、ラリースタート直前の日程で開催されるのが一般的です。

Recce/レッキとは

選手主催者が定めた日程でのみ、ラリーで走行するSSのコースを予め下見することができます。この下見走行を「レッキ(=Recce, Reconnaissanceの略)」と言います。

レッキ中の走行速度には制限が設けられ(スペシャルステージ内は時速30km以上での走行禁止等)、本番のような速い速度で走行するものではありません。

では選手はレッキで何をしているのでしょうか?レッキではまずドライバーが次のコーナーまでの直線距離やコーナーの曲率などを読み上げ、コ・ドライバーはそれをノートに記録していきます。こうして全てのコースを記録して完成するノートを「ペースノート」と呼んでいます。

通常1箇所のコースをレッキ走行できる回数は2回だけです。その限られたレッキでペースノートの完成度をどこまで高められるかが、そのラリーの勝敗を左右することにもなるので、ラリーにとってレッキはとても重要であると言えます。

Scrutineering/公式車両検査・車検とは

ラリー競技車は、ラリーに出場する前に必ず主催者による公式車両検査を受けなければなりません。ラリーは公道上を走行する競技ですから、当然参加車両は例えば日本の車両なら陸運局の車両検査に合格している必要がありますが、それとは別に大会の都度、主催者による車両検査を受ける義務があります。車両検査では、

 ●競技車が安全に走行するため車両構造上に問題がないか
 ●定められた車両重量よりも軽量化しすぎていないか
 ●排出するガスは道路車両運送法の基準以内か
 ●規定に定められた範囲で的確な改造が行われているか
 ●定められた消火器や救急用具などが搭載されているか
 ●レーシングスーツやヘルメットといった備品は規格に合致したものか

など多数の項目が検査されます。また、海外から参加する競技車両はジュネーブ協約に基づいた自動車カルネによって輸入されますが、車検ではこのカルネについてもチェックを受けます。

選手の安全と競技の公平性を保つために車検は重要不可欠ですので、国際格式のラリーともなれば車検だけで丸1日の日程を(通 常レッキラリースタートの間の日に)設けてあり、1台ずつ綿密にチェックされます。もし車検で不合格と判定されれば出走すらできなくなります。また、競技中にも任意に車両に関する追加チェックが行われることもありますので、ただ単に競技前の車検だけをクリアすればよいというものではありません。

Marking/マーキングとは

「マーキング」とは、車両規則によって使用(数)が制限された部品などが、競技中も車検時の状態で維持されていることを確認するために、印を用いて封印を施すことを言います。具体的には、競技車に装着したターボやタイヤとそのスペアなどに、塗料を用いて印を付けます。マーキングは車検時に車検員によって行なわれ、オフィシャルは競技中これを任意にチェックします。尚、タイヤマーキングは各サービスパークの出口でも行なわれます。

Sealing/シーリングとは

「シーリング」とは、車両規則によって分解が禁止されている部品などが、競技中も車検時の状態で維持されていることを確認するために、ワイヤーを用いて封印を施すことを言います。具体的には、エンジンやターボの取付口付近・取付ボルトなどに穴を開けてワイヤーを通し、ワイヤーの先端を鉛などで固定します。

Parc Ferme/パルクフェルメとは

パルクフェルメ(Parc Ferme)は日本語で「車両保管場所」などと訳され、競技車を選手たちから隔離するために設けられたエリアのことを言います。パルクフェルメの目的は、例えば公式車両検査を終えてラリースタートまでの間などに、選手やチームが不正に整備作業などを行えないようにして公平性を保つことです。総ての競技車両がそのエリア内に駐車され、オフィシャルがこれを監視します。選手は自車に指示されているスタート時刻の10分前にならないとパルクフェルメに立ち入ることができません。

また、パルクフェルメは「車検〜ラリースタート」の間だけではなく「レグ〜レグ」の間や「ラリーフィニッシュ〜再車検」の間などにも適用されます。特別に規則で認められた以外の補修作業や燃料補給は一切認められず、パルクフェルメを担当するオフィシャルを除いては誰もエリア内にとどまることができません。

Start/ラリースタートとは

ラリー競技車は全号車が一斉にスタートしません。原則として1分おきに1台ずつ、時間差を設けてスタートします。例えばゼッケン1号車が09:00にスタートしたら、60号車は09:59にスタートすることになります。原則として1つのラリーで出走する競技車は国際規則では90台、国内規則では60台以内と決められています。ですから観戦する側も、1号車がスタートして60号車がスタートするのを見るまでには1時間以上かかるということになります。これはスタートに限らずSS観戦でもゴールにおいても全行程で同様ですから覚えておきましょう。
(RALLY JAPANでは、最初の20台のみ2分おきにスタートします)

Ceremonial Start/セレモニアルスタートとは

大きな競技会では付帯イベントや華々しいアトラクションを伴う「セレモニアルスタート」が開催されますので、これらのタイムスケジュールや開催場所を事前にしっかりチェックして観戦計画を立てたほうが良いでしょう。多くの場合、ラリー(競技車)は既に競技的にスタートしていて(=ラリースタート)、通 過点のひとつとしてセレモニー的なスタートをすることから「セレモニアルスタート」と呼ばれます。

Special Stage/SSとは・スペシャルステージとは

ラリースタートからラリーフィニッシュまでのルート上には、タイムトライアル区間が複数設定されます。これを「SS(=スペシャルステージ)」と呼びます。このSSを全開アタックした走行タイムの合計でラリーの勝敗が決まります。SSは主に林道などに設けられ、ときにはサーキットや有料道路、河川敷、競馬場、農園、私有施設内などに設置されることもあります。1つのSS距離は数km〜数十kmと様々です。いずれの場合もすべてのSSはオフィシャルロードクロージャー)によって完全に封鎖されています。

通常タイムはSSスタート地点とSSフィニッシュ地点にセッティングされた光電管と呼ばれる測定計器によって1/100秒単位まで計測され、その1/10秒単位までが成績に反映されます。スタートのカウントダウンをする計器や、フライングを監視するための計器も設置されます。尚、SSスタートはスタンディング・スタート(エンジンを始動しスタートラインに停止した状態からのスタート)、SSフィニッシュはフライング・フィニッシュ(全開で走り抜けて通過タイムを計測する)です。 また興行的に、競技場などで2台ずつの競技車を同時に走行させる「スーパースペシャルステージ」が設けられることもあり、特に最近人気を呼んでいます。

Time Control/TCとは・タイムコントロールとは

ラリーのルート上には、複数の「TC(=タイムコントロール)」が設置されています。もし皆さんがラリーコース上で、数名のオフィシャルポストマーシャル)と共に赤や黄色の時計マークの看板を見つけたら、そこがTCエリアです。競技車はTCから次のTCまでの区間を、与えられた指示通りのルートで、指示通りの時間で走行しなければなりません。実際に指示通りに走行しているかどうかをオフィシャルがチェックする地点がTCです。

選手はTCでオフィシャルにタイムカードを提出して通過時刻を記入してもらいます。オフィシャルはこれを控えてリザルト本部で集計します。TCに到着するのが指示された時間より早すぎても遅すぎても、ペナルティとして減点が加算されます。ラリーの勝敗の要因には、SSの走行タイムの速さだけでなく、TC間の移動の正確さも含まれています。 尚、日本の国内ラリーにはTCと殆ど同じような役割を持つ「CP(=チェックポイント)」がありますが、ラリーの形式やルールが異なるため、厳密に言えばTCとCPは異なるものです。

Road Section/ロードセクションとは

連続するTCとTCの間の道程を「ロードセクション」と呼びます。ロードセクションにはSS(=スペシャルステージ)も含まれています。SS区間は1/100秒を競って走行しますが、ロードセクション全体は速く走れば良いというものではなく、与えられた指示通りのルートを指示通りの時間で走行しなければなりません。TCに到着するのが指示された時間より早すぎても遅すぎても、ペナルティとして減点が加算されます。

ラリーは一般公道上を一般車両と混じって走行するロードイベントです。従って競技車は開催国の交通法規を遵守し、法定速度内のスピードで走行しなければなりませんし、主催者が法定速度を上回るような指示を競技車に与えることはありません。主催者はラリー中「スピードガン」などを使用して独自に競技車のスピードチェックを行います。

また、「リエゾン」もロードセクションと同義語です。

Liaison/リエゾンとは

「リエゾン」は「ロードセクション」と同義語です。

Regrouping/リグルーピングとは

本来なら競技車は、ゼッケン順に1台ずつ1分間隔で走行するはずです。しかし競技の進行に伴い、走行順序が入れ替わったり間隔が空いたりしてしまうことがあります。「リグルーピング」とはこの空いてしまった間隔を詰めるために競技車の走行順列を再編成することです。クルー主催者の指示によってリグルーピングエリアにおいて一定時間停止しなくてはなりません。入口と出口に設置されたTC(=タイムコントロール)で停止時間が管理され、リグルーピングエリアを出た後は再び総ての競技車が1分間隔で走行することになります。そういった目的ですので停止時間は各競技車によって異なることもあります。

Service Park/サービス会場・サービスパークとは

車両の整備などを「サービス」と呼び、サービスのためにラリールート上に設けられた場所を「サービスパーク」と呼びます。サービスパークは「サービス会場」「サービス地点」「サービスエリア」などとも呼ばれ、通常1つのラリーにおいて1箇所、全競技車が駐車できる広い敷地に設定されます。

競技車はサービスパーク以外の場所でチーム員やその他のいかなる援助も受けることはできません。例えばSS(=スペシャルステージ)を走行中に車両にトラブルがあった場合、選手は自らのみで修理作業を行うことは許されますが、もし他者の手を借りれば失格となってしまいます。作業のみならず部品や工具を受け取ることも違反です。またサービスエリア内であっても、予めサービスのために登録されたチーム員でなければ作業を行うことはできません。サービスに係る違反がないかどうかはオフィシャル技術委員)によって監視されます。

1回のサービス所要時間は制限されています(原則として20分など)。サービスパークの入口と出口にはTC(=タイムコントロール)が設置されており、指定時間内に作業を終えサービスパークを出ることができないと減点の対象となります。大きな車両トラブルがあったときなどは、メカニックスタッフがいかに迅速に作業をできるかといったチーム能力も勝敗を決める要因の1つになるのです。 
◆サービスパークへの観客の入場の可否や、入場が有料か無料かなどはイベントによって異なりますが、可能であればぜひ主催者や参加者の邪魔にならないような範囲でサービス風景を見学してみてください。緊迫したサービス作業中はとても無理ですが、チームに余裕がある時間帯(例えばその日の最終サービスが終わった後など)には、選手やスタッフに声をかけたり、サインを求めたり、写真撮影をお願いできるチャンスがあるかもしれません。いずれにしろその場の空気を読んで、競技の邪魔にならぬように行動することが大事です。

Service Area/サービスエリアとは

Refuel/リフュールとは

「フュール(=fuel)」は燃料、「リフュール」は再び燃料を入れる、つまり再給油、燃料補給といった意味です。競技車はロードブックによって指定されたリフュールエリア以外で燃料を補給することはできません。リフュールエリアは通常サービスパークに隣接して設置されます。

また、それ以外にもエリアを設けて追加給油(=サプリメンタリーリフュール)が行なわれる場合もあります。

Finish/ラリーフィニッシュとは

ラリーのフィニッシュ地点すなわちゴールです。
多くの場合、フィニッシュ地点では暫定の表彰式が開催されます。

Podium/ポディウム・ポディアムとは

ラリーカーがスタート地点やフィニッシュ地点でセレモニー的に上るお立ち台を「ポディアム」と呼びます。多くの場合、ラリーのフィニッシュ地点では暫定の表彰式が開催されます。表彰式でラリーカーを待ち受けるポディアムは、すべてのラリーストが目指す場所です。

Prize-giving Ceremony/表彰式とは

ラリーはとても長丁場の競技です。マシンや天候その他いろいろなファクターによって勝敗が左右されますから、たとえベテランのラリーストにとっても、全力で走り抜いてゴールへ戻ってくることは容易なことではありません。 多くの場合、ラリーのフィニッシュ地点では暫定の表彰式が開催されます。表彰式でラリーカーを待ち受けるポディアムは、すべてのラリーストが目指す場所です。入賞者を称える「シャンパンファイト」は観戦する皆さんにとってもきっと感動の瞬間になることでしょう。

英語の「rally」という言葉には「集う」「再び集合する」という意味があります。スタートラインを1台ずつ出走していった競技車が、それぞれに長い道程を走り戦って様々なドラマを生み、そして再び一所に集合(ゴール)するのです。皆さんもぜひスタートでピカピカの競技車を見送り、選手の白熱した戦いぶりをそれぞれにSSで観戦し、そして再び集合してフィニッシュする彼らを迎えていただければと思います。
このラリー用語解説文の著作権は、ラリージャパンの主催クラブに帰属します。当サイトでは著作者より許可を得て掲載しています。著作者はラリーの発展のためにこれらの著作物を提供することには協力的ですが、決して無断で転載せず、必ず許可を得てから行ってください。
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